見ようとすれば ― カムラの里の凹凸三人組 ―①

妄想狩猟小説
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登場人物紹介

  • 深雪(みゆき) — 先輩ハンターとして、三人と任務を共にする。通称「静雪の射手」
  • 凹凸三人組 — 3人は幼馴染。一緒にハンターライセンスを取得し初任務に。
    • ゆうた — リーダータイプ。太刀を使う。やや「前のめり過ぎ」なところがある。
    • コマツ — 参謀タイプ。ガンランスを使う。やや「考えすぎ」なところがある。
    • ミツネ — 紅一点。片手剣を使う。3人で最も柔らかく、しかし最も鋭い。

第一章:凹凸三人組

カムラの里の朝は、湯気と鉄の匂いで始まる。

鍛冶場から響く金槌の音が山あいに渡り、茶屋の軒先から立ちのぼる湯気が風にほどける。

まだ陽が高くなりきらない訓練場の砂地で、三人の若いハンターが向き合っていた。

白線で囲まれた即席の模擬戦場。

「行くぞ」

ゆうたが太刀を抜く。

細く反った刀身が朝日に光る。

日本刀のようにしなやかな刃。

振り上げ、踏み込み、斜めに斬り下ろす。動きは真っ直ぐで、迷いがない。

そして何より目立つのは、その髪だ。

鮮やかなピンク色のリーゼント。

山里の落ち着いた色合いの中では派手すぎるほどだが、本人は気にしていない。

むしろそれが自然だという顔で刀を振るう。

受け止めるのは、重い盾。

鈍い音とともに、コマツのガンランスが地面を踏み締める。

極端に大きくも小さくもないが、姿勢が崩れない。

焦げ茶の髪を整え、視線は常に相手の中心線を追っている。

爆炎を内蔵した武器を持ちながら、動きは静かだ。

「踏み込みが深い」

低く、冷静な声。

「振り終わりに重心が前へ流れている。戻れない」

「細けえな」

「細かくない。実戦では致命的だ」

今の訓練は、前衛と後衛の連携確認。

ゆうたが切り込み、
コマツが受け止め、
間合いを制御する。

その型合わせだ。

ゆうたがもう一度斬り込む。

今度は横薙ぎ。

コマツは盾をわずかに傾け、衝撃を逃がす。

「今のは悪くない」

「だろ?」

「だが、皮の厚い相手には浅い」

二人の間に、軽やかな足音が入る。

「はい、そこまで」

ミツネだ。

淡い茶色の髪は肩までの長さ。

後ろでひとつに結わえられ、動くたびにやわらかく揺れる。

日差しを受けると、ほのかに光る。

笑うと目尻が少し下がる。

「初任務前に怪我したら、里のみんなに怒られるよ?」

声は明るいが、目はよく見ている。

ゆうたが太刀を肩に担ぐ。

「心配しすぎだ」

「だって、心配する役は私でしょ?」

ミツネがくすりと笑う。

三人は同じ年に弟子入りし、同じ日にライセンスを取得した。

十七歳 —— 本来なら十分早い取得だ。

ミツネが横目で見る。

訓練場の端、木陰に立つ少女がいる。

深雪――「静雪の射手」の異名を持つ少女。

黒に近い濃紺の長髪。

淡い青の瞳。

細身で、無駄のない立ち姿。

言葉少なに三人を見ている。

十五歳でライセンスを取得したという記録は、里ではよく知られている。

「……深雪さんはどう思います?」

コマツが問う。

深雪は静かに答える。

「踏み込みは悪くありません」

ゆうたが小さく笑う。

「ほらな」

「ただ」

「戻る動作が遅れます」

ゆうたの肩がわずかに落ちる。

コマツは頷く。

「受けが遅れたのは、それだ」

ミツネは二人を見比べる。

(やっぱり、見えてる)

茶屋の軒先から、老人が声をかける。

「朝から元気だなあ」

「まあ、若いってのはああいうもんだ」

「怪我すんなよ」

笑い声。

からかうようで、どこか優しい。

茶屋の子どもたちが駆けてくる。

「でっかいカエル見た!」

「お腹ぺったんこだった!」

ミツネがしゃがみ込む。

「どこで見たの?」

「川のとこ!」

コマツが腕を組む。

「水位が下がっている。餌が減っている可能性がある」

ゆうたが肩を鳴らす。

「痩せてるなら軽いだろ。斬りやすい」

「軽いほうが速いかもよ?」

ゆうたが太刀を鞘に収める。

ピンクのリーゼントが朝日に光る。

「行くぞ。初任務だ」

コマツはガンランスの弾倉を確認する。動作は正確。

ミツネは二人の間に立つ。

「がんばろうね」

三人で一つ。

まだ噛み合いきらない形。

木陰から深雪が歩き出す。

導くでもなく、止めるでもなく。

ただ、見る。

山風が吹く。

深雪だけが、その風の匂いを少し長く確かめていた。

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